数分後、颯くんはわたしの荷物も一緒に戻ってきてくれて、先生の手を借りながら立ち上がる。
「歩けるか?」
「大丈夫。ゆっくりなら一人で歩けるよ。荷物ありがとう」
受け取ろうとしたけど、颯くんの顔に"持たせない"って書いてあるような気がして、手を引っ込めた。
「このままタクシーで、病院行くからな」
「あ、じゃあ先生今電話して──」
「もう呼んであるんで、俺らが下につく頃には着てると思うっす」
「あらっ、そうなのね。小鳥遊くん、準備が早いわぁ」
「ごめんね、颯くん」
「気にすんな」
ゆっくりとわたしに合わせて、颯くんが隣を歩いてくれる。
扉を開けて、わたしは先生にお礼を告げた。
「先生、ありがとうございました。失礼しま──」
「ねぇ、小柳さん」
「はい?」
何故か先生は、わたしたちににこにことした顔を向け、わたしと颯くんは顔を見合わせる。
「もしかして、彼氏っ?」
「えっ……ち、違います!」
「あら違うの?」
「違います!仲は悪くないですけどっお友達です!失礼します!」



