乱暴に保健室の扉を開け、驚く先生に何事か話すことなく、わたしをそっとベッドへ寝かせる。
いそいそと先生がこちらに小走りで来ると、先生は颯くんに尋ねた。
「どうしたの?何があったか聞かせて」
「階段から落ちたんだ。……小柳、頭は打ってねぇか?」
「……うん」
わたしの頭に手を添えて優しく聞いてくれる颯くんに頷けば、先生もわたしの顔を覗き込む。
「落ちたって、踏み外したの?痛いとこは?」
「はい。……不注意で。左足、がちょっと」
「足ね」
失礼、と言いながら先生に左足の靴と靴下を剥がされ、足首が軽く触られた瞬間──
「……いっ」
顔を歪めたわたしに、颯くんも反応して撫でてくれる。
「捻挫ね。わりと重症かな……少し内出血してるし、まず冷やしましょう。後ちゃんと病院行くこと」
慣れた手付きで応急処置として、保冷剤をビニールに入れて足のとこで固定してくれた。
「どうする?ほんとはすぐ早退させたいって言うのが正直な気持ちなんだけど……」
早退、か……
でもせっかくの球技大会だし、授業があるわけじゃないから。
「最後まで、せめて見学だけでも──」
「今すぐ病院だ」
わたしの言葉を遮って、颯くんは先生に告げると扉の方へ歩いていく。
「先生、俺も早退するんで担任に連絡頼みます。小柳、俺着替えと鞄取ってくるから待ってろ」
「ちょっと待って颯く──」
「わかったな」
反論は聞かない、と言う目に大人しく頷くしかなかった。



