逃げ道を探すには遅すぎた

混乱する私をウィリアムが抱き上げてベッドへ連れて行く。ベッドに押し倒された刹那、足に冷たい感触がした。

「な、何?」

足元を見て驚く。私の足には鎖が巻き付けられていた。まるで囚人だ。私はウィリアムとシャノンを交互に見る。

「二人とも、こんなことやめてよ!もうあなたたちは子どもじゃないから私がいなくても平気でしょう?」

「何もわかってねぇな」

私に鎖を巻き付けたシャノンが近付いてくる。反射的に目を閉じると、唇に柔らかな感触がした。目を開けると目の前にシャノンの顔があってーーー私、人生で初めてのキスをしてる。

「雫がいないと俺もこいつもダメなんだよ。雫がいる時しか心が落ち着かねぇんだ」

シャノンが頰を撫でる。初めてのキスで混乱している私だったけど、ウィリアムが顎を掴んで強制的に自分の方を向かせたことで何とか我に返った。

「シャノンだけずるいですよ。抜け駆けはするなと言ったのに……。雫、あなたは私の全てです。貴族社会は嫌です。人を見下してみんな穢れている。雫だけが美しいんです」