逃げ道を探すには遅すぎた

「二人とも、紅茶置くね」

テーブルに紅茶を置く。するとシャノンとウィリアムに手を引かれて二人の間に座らされた。

「雫、お前も一緒に謎解きしようぜ」

「せっかく久しぶりに会えたんです。そばにいてくれませんか?」

謎解きははっきり言って全然できない。でも二人の推理を聞いているだけで楽しくなる。私は大きく頷いた。



十九世紀ロンドンで暮らすようになって時間はあっという間に過ぎて行った。もうすぐ一年が経とうとしている。私は変わらずシャノンの家で暮らしていて、ウィリアムが忙しい中時間を割いて来てくれて、二十一世紀にいた頃より楽しいんじゃないと思う時もある。……仕事は見つかってないけど。

「シャノン、買い物行って来るね〜」

「行ってら〜」

ようやく最近買い物が一人で行けるようになった。執筆で忙しいシャノンに付き合ってもらうのはちょっと心苦しかったので大きな進歩である。

「えっと、まずは卵と牛肉を買わなくちゃね」