逃げ道を探すには遅すぎた

そんなことを言われてドキッと心臓が跳ねる。ウィリアムは真剣な顔だった。舞踏会で告白された時みたいだ。でも、私はーーー。

「フフッ。いつか私以外の綺麗な人に言えたらいいね」

全てに蓋をする。気付かないフリをして花瓶にバラを飾る。うん、花があるだけで部屋の印象はグッと変わる。一気に空間が華やかになった気がした。

「二人とも、紅茶淹れるね」

どこか睨み合っているような二人に声をかけ、私はキッチンへ入る。今度はシャノンに邪魔されることなく紅茶を淹れることができた。ティーポットとカップを持ってリビングに向かうと、シャノンとウィリアムがソファに座って話している。

「……というわけだ。犯人が誰かわかるか?」

「そうですね。この場合ですとーーー」

頰が緩む。まるで二十一世紀にいた頃みたいだ。シャノンもウィリアムも頭がよく、ミステリー好き。こうして小さい頃は自分たちで問題を作って解き合っていた。あの日、舞踏会で再開してからウィリアムが家に来るようになって、こうして謎解きをまたするようになったんだ。