逃げ道を探すには遅すぎた

シャノンの顔はどこか暗い。そういえば、あの時シャノンもウィリアムもまだ八歳。大人でもショックな場面を見せてしまった……。

「ごめんね。勝手にいなくなって」

「別に気にしてねぇよ。雫が悪いわけじゃねぇしな。……こうしてまた会えたことだし」

シャノンは私の頭を撫で回す。まるで子どもになった気分だ。

「私が頭を撫でる役だったのに」

「今の俺は雫より年上で雫より背が高いんだからこうなるのは必然だろ。……ずっと、こうしたかったんだ」

シャノンに不意に抱き締められた。彼の胸板は子どもの頃と違って分厚くて、ドキッと心臓が音を立てる。私の目の前にいるのは間違いなく「大人の男性」だ。

「雫。俺、雫のことが好きだ。本当の家族になりてぇって思ってる」

突然の告白だった。おまけにおでこにキスをされる。その時に見たシャノンの目は熱が宿っていて、その言葉は本気なんだとわかった。でもーーー。

「シャノン。私、シャノンのことはーーー」