逃げ道を探すには遅すぎた

自分の家族だった人たちを思い出し、私の顔から笑みが消えた。そんな私の変化に気付いたのか、二人が近付いてくる。

『雫、大丈夫かよ?』

『どこか具合いが悪いんですか?』

『ううん、何でもないよ。それよりバイトが終わったら出掛けようか』

SNSで何でも一つだけ願いを叶えてくれる神様がいる神社を見つけた。ここからそう遠くない。私がお出かけを提案すると、二人とも目を輝かせた。

『お出かけ!どこ行くんだよ?』

『遊園地ですか?それとも水族館ですか?』

八歳の子をずっと家に居させるのもダメだろうと思って、タイムスリップについて調べつつ、遊園地などに連れて行ったんだよね。二人の時代には当然なかったものばかりだし、お出かけが好きになってくれた。

『何でも願いを叶えてくれる神様がいるところだよ』

私がそう言い、アルバイトに行くための支度を始めた。



午後二時。定食屋てのアルバイトが終わって急いでマンションへと帰る。急いで帰るのは二人がちゃんとお留守番できているか心配だからじゃない。