逃げ道を探すには遅すぎた

大根と油揚げとネギの味噌汁、卵焼きを焼いて、豆腐を切って皿に盛り付ける。するとご飯が炊き上がって、リビングのドアが開いた。

『おはよ〜。雫』

『おはよう、シャノン。ウィリアムは?』

『まだ寝てる。てか、今日の朝ご飯もうまそう!』

眠そうに目を擦っていたシャノンは、テーブルに並べられた朝ご飯を見て目を輝かせる。眠気も吹っ飛んでしまったみたいだ。

『ウィリアム起こしてくるね』

そう声をかけて、私は二人の寝室にした空き部屋へ向かう。ドアをノックして部屋に入ると、ウィリアムは布団の中で寝息を立てていた。

『ウィリアム、朝ご飯できたよ』

軽く体を揺さぶると、ウィリアムはゆっくりと目を開ける。そしてその顔が真っ赤に染まった。

『あっ!雫、おはようございます!』

『おはよう、ウィリアム』

ウィリアムは恥ずかしそうにしながら部屋を出て行く。リビングに行けばシャノンに揶揄われていた。この光景は毎朝変わらない。

『お前、八歳にもなって自分一人で起きれないのかよ〜!』

『あ、朝に弱いんです!』