「……!…ありがとう!…助かったよ!」
男の人はそのまま、私が指した方向へと走っていった。
私はというと、まだ指は震えたままで、その場で固まっている。
……き、緊張した。
でも、しっかりとあの人には伝えることができたし、良かった……。
しばらくして震えは収まったので、家に帰ることにした。
「ただいまー」
あれ…?いつもならお母さんがお帰りって言ってくれるのに。
「~~~」
よく耳を澄ますとリビングの方から声が聞こえる……。
私は静かにリビングのドアを開け、誰と会話をしているのか確認した。
少し開けたドアの隙間から見えたのは、まさかの人であった……。
「……う、うそでしょ…」
「…あ、天音。…帰っていたのね」
私は衝撃が大きすぎて、言葉が出てこなかった……。
「……天音、紹介するわね。この人達が今日から一緒に住む遠野昭仁(トオノ アキヒト)さんたちよ」
私の前にいる人…昭仁さんは、さっき私に話しかけてきた男の人であった…。


