ポリスに恋した

「それ、私に聞く?...きっと、あなたにとって特別な子よね」

「特別な子?」

「だって玲於、あの子のことになるといつも余裕がなくて、それでいてすごく優しい目をしているもの」

俺にとって特別な子...。


『玲於くんに会うために早起きしてるからね』

『玲於くん優しい!好き!結婚して!』


結婚...。

ああ、ダメだ。やっぱり記憶がない。

「無理して思い出すのも良くないんじゃない?...ゆっくりでいいと思うわ」

「あ、ああ...」

「それじゃあ私、帰るわね」

「ああ、いつもありがとな」

去って行く橙子の背中が、なぜか少し寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。

そして、あの日を境に桜ちゃんは俺に会いに来なくなってしまったー。