甘さなんかいらない





今度はあたしだけじゃなく全員に伝わった、と思う。あたしの絶対的NOなんて簡単に崩す。昔からそういう奴だ、瑛くんって。



首を縦に振ってしまったのは、瑛くんのせいじゃなく頭の重さが重力に負けたせいにしておこう。



そうじゃなきゃ、ずっとあたしに視線を送り続けていた顔だけは綺麗な偽王子の甘美な罠にハマったあたしの負けな気がしたから。












──気がした、で済めば良かったけれどそれで済まないのが田邊瑛斗であった。どうにか思い出せたあたしの記憶は演習室にて飲み会にYESを出してしまった、ところまで。



それ以降はなんの記憶もなく、気がついて目が覚めたら、知らない場所で下着しかつけていない状態で横たわり、その空間には髪色だけが変わったあいつがいたってわけだ。



そしてあたしはその男にまた唇を奪われてしまったわけ。人生で何度、無許可でキスをされなければならないんだ。




「ゆーず」


「気安く呼ぶなヤリチン」


「ひでえ、吐くまで飲んで帰れないゆずかちゃんのお世話してあげたの、俺なのに」