甘さなんかいらない





お姫様抱っこで連れ出されてから、瑛くんの家に連れ込まれてしまった。ちゃっかりしていやがる。



でもあたしだってこんな幸せいっぱいの状態でひとりで帰りたくはないし、瑛くんのバニラに包まれるこのお部屋は好きだったりする。



ソファーに腰掛けてあたしを足の間に座らせて、後ろからずっと抱きしめてぎゅっと温度を与えてくる瑛くんのほうへ振り返って気になっていたことを聞いてみた。あたしより大きくて温かい感覚が心地良い。



こんなに近いと、この空間自体が甘くてクラクラする香りなのに、もっと瑛くんのバニラに酔ってしまいそうになる。




「あーー出るつもりなんてなかったよ。去年も断ってるし」



「え、じゃあなんで」


「理由は二つ。なんでしょう」