ざわめく周りの声なんて聞こえない。聞こえるのはあたしの中にすとんと落っこちる君の声だけだ。 向き合って、まんまるな猫目を甘やかに細めて、指と指が絡まってそのまま引き寄せられた。 後頭部に回った大きな手に優しく撫でられて、もうこの想いを絶対に消せないと確信する。 同時に、その甘い温もりに、あたしの自惚ではないと、一方通行ではないとも確信する。 あたしのことを好きでいてくれる、大切にしてくれる、君の特別はあたしだって、言葉にしなくても伝わってくる。 「柚果」