甘さなんかいらない




当然のように、あたしの席の隣に既にいる田邊瑛斗。静かに瑛くんのほうへ歩いていく。そこしか席が空いていないから、仕方なくだよ。



結局あたしはとっても微妙で可愛くない顔をしていると思う。もう何度思っただろう、あざとカワイイの仮面をとったあたしはこんなもんなんだ、と。



ゼミ室のドアを開ける、席まで歩く、席につく、鞄を下ろす、まであたしの一挙手一投足、ひとつひとつの動作に視線が送られているのわかる。


それは間違いなく、隣でだるそうに頬杖をつく黒髪の男から。


あたしは見ないようにしてるのに、こんなに見られていたら嫌でも視界の端には入り込んできてしまう。そんなことしなくても、あたしの心にはとっくの昔に入り込んできているけれど。