甘さなんかいらない





きっと瑛くんはあたしを拒絶しない。

けれど、瑛くんの真ん中にあたしがいないことを認識するのが怖くて、立ち直れる気がしないから。拒絶より苦しい。



2年になってからあたしの世界は急変した。急変した世界の中心には常に田邊瑛斗がいて、あたしの手を取っていた。あたしを掬い上げていた。



だから、君の世界の中心にも羽山柚果がいるんじゃないかって、願いたくなってしまったんだ。




あの時の瑛くんの声色は、これまで聞いたことがないくらい焦っていた、ように感じた。あたしが去らないように。……それも都合の良い解釈でしかないのだけど。



はぁ、とひとつため息をつく。幸せが逃げていく。幸せを呼び寄せる方法はないのに、逃げてゆくことだけあるなんてあまりに不公平だ。