甘さなんかいらない




一気に血の気が引いた。懐かしさに浸っていた気持ちが一瞬で引き戻された。どんな言い訳をしたって無駄だ、と瞬間的にわかった。




引き止めれば良かった。完全に俺が悪い。あいつの気持ち、何も考えていなかった。


「デートしよう」と直接的な言葉を使ったのは俺のほう。



そんな状態で、もう何の気持ちもないにせよ他の女と話しだしたら嫌な気持ちになるに決まっている。悲しい思いをさせるに決まっている。考えれば当然のこと。




「ごめん、俺、追いかける」


「いや私のほうこそごめん。何も考えず話しかけちゃった」


「遥乃は気にしないで。話せて良かった。またどこかで」