一度退室してから戻ってきた新次郎の手には救急箱が握られていて─…
「っい!!痛いってばっ!!」
「うるせぇな…手当てしてやってんだから有難く思えやクソガキ!!」
不器用な手つきで私の傷の手当をしてくれた新次郎もまた…優しい人だと思う。
大げさなほどグルグルに巻かれた包帯を見て、これは仁睦さんに一発でバレるなぁ…と思いつつ救急箱を片付けようとする新次郎の手を掴んだ。
「……なんのマネだ」
「交代、今度は私が手当してあげる」
救急箱の中からガーゼを取り出して消毒液をジャバジャバぶっかけて…それをそのまま新次郎の頬の傷にベタりと貼り付けた。
「っ…痛ってぇ!!!何すんだ、テメェっ!」
傷口にダイレクトに沁みたのか、怖い顔をして私を睨みつける新次郎。本当に…よく怒る人だなぁ、疲れないのかな?
「新次郎の顔、綺麗だから…傷なんて作って欲しくないよ。ちゃんと手当した方が早く治るから、大人しくしてて」
頬や額、口元などをガーゼで抑えながら血液を拭き取っていく。どれも浅い傷ではあるが…ナイフを持っている人に立ち向かうなんて、どれほど勇気がいったことだろうか。
「……痛かったね、もう大丈夫だよ」
”大丈夫”という魔法の言葉。私自身その言葉には何度も救われてきたから─…



