「…私、今日は怖い思いをしたから一人じゃ眠れません。お兄ちゃんにそばに居て欲しい」
腕を握る手にギュッと力を込めて、仁睦さんを見つめる。
「……お願いします、私からお兄ちゃんを取らないでください」
仁睦さんの後ろにいるスレンダー美女に声を掛けると、彼女は余裕そうな笑みを浮かべて…
「知らないみたいだから、教えてあげる。私の名前は美園《みその》 麗奈《れいな》。聞いたことくらいあるよね?美園グループ…って。大きな企業なんだけど」
………申し訳ないが、存じ上げておりません
「私に楯を突いたらどーなるのか…知りたいなら教えてあげてもいいけど。今回は仁睦さまに免じて許してあげます。今後、口の利き方には気をつけてね─…捨て駒ちゃん?」
そう言って笑った美園さんを見て、何も言い返す言葉が見つからなくて…悔しさのあまり下唇をグッと噛み締める。
……きっと、お金持ちのご令嬢様なんだ
なんの苦労もせずに、甘やかされて育ったお嬢様なんだ。可哀想な人…私なんかより全然、寂しい人なんだろうなぁ。



