彼が身を固めてしまう前に振り向かせれば大丈夫…と意気込んでいた数十分前の私に教えてあげたい。
「……仁睦さま、おかえりなさい。えっと…妹さん、ですよね?ご無事で何よりです」
仁睦さんの許嫁の女性がっ、上品な姐さん女房系スレンダー美女だなんてっ!全く、想像もしておりませんでした!!!
「…お待たせしてしまい、申し訳ありません」
目の前の余裕たっぷりスレンダー美女に、なぜか頭を下げて敬語を使っている仁睦さん…許嫁にしてはやけに距離感があるなぁ…と思いつつ圧倒されて何も言えない。
「いいの、気にしないで。それより抗争の件だけど…落ち着いたならもう戻らなくても大丈夫ですよね?……さっきの続き、シましょう?」
電話でも言われた通り…本当に私に名前を名乗る気が無いらしいその人は、私の推しの手を取ってこの場を立ち去ろうとする。
──…いやだ、
咄嗟に反対側の仁睦さんの腕をギュッと掴んでしまったことにより、両手の自由を奪われた仁睦さんは必然的に足を止めざるを得ない状況になってしまった。



