「目の前で私と許嫁が溺れてたらどっちを助ける?!私と許嫁が海外マフィアに拉致されたらどうするのっ!!?明日世界が終わるとしたら私と許嫁、どっちと過ごす?!!」
周囲の席に座っている女子高生やカップル達の視線がこちらに向いたのが気配で分かった。仁睦さんがどう答えるのか、聞きたいのは私だけでは無いらしい。
知らぬ間にギャラリーを集めてしまうほど、仁睦さんのルックスは今日も素晴らしい。そんな彼の答えを皆で心待ちにしていたのですが─…
「例え話は好きじゃない。そんなアホな発言が出来るならもう立てるだろ?─…行くぞ」
っと、呆気なく会話を終了させられ…伝票を持って席を立った仁睦さんの後を慌てて着いて歩いた。
スムーズに会計を済ませた仁睦さんに、「お金、払います」と財布を出して見せたところ舌打ちをして睨みつけられたので大人しくお礼を言っておいた。
とはいえここからどうやって帰るのか、と不安に思っていた矢先…仁睦さんは私のことを置いて既に歩き始めていた。
「……あの、歩いて帰るんですか?」
「また逃亡されても困るからな」
「…本当に、怒ってないの?」
「手のかかるガキだってことは出会った時から知ってる。今更騒ぐようなことじゃない」
「………剛田さんは?」
「さぁ?消した方がいいならそうするが、」
「お咎めなしで、お願いしますっ!!」
仁睦さんの隣を歩くことが出来るなんて…夢みたいだ。婚約者ってことはまだ、独身ってことだから─…彼が身を固めてしまう前に、必ず振り向かせてやろうじゃないか。



