「…分かりました、新次郎とお留守番してます」
「ん…じゃあ行ってくる」
今度こそ私から離れて行ってしまった仁睦さん。彼を兄の姿と重ねるようなことはしないが何処か兄の面影を感じさせる雰囲気に、とても胸を締め付けられる。
「……にぃに、」
あぁ…今日はきっと眠れそうにない。
紗弓にもらったアロマキャンドルの火がユラユラと揺れるのを見ながら、夜が更けるまで思い出に浸ろ…う。
──…って、
「アロマキャンドルっ!!!」
バタバタと畳の上を走って、先程仁睦さんに差し出された段ボールをひっくり返して中身を確認する。
いつも使ってるショルダーバッグ、大学に通う時に使用していたトートバッグ、ベッドサイドに置いたままだったと思われるスケジュール帳
「……ないっ、」
アロマキャンドルが火災に巻き込まれたとなると、一時的に周囲はいい香りがしただろうな…
ふぅ、っとため息を吐いたとき…すぐ側で人の気配を感じて顔を上げると、冷たい目で私を見下ろす新次郎の姿があった。



