「……なんの真似だ」
「ありがとうございます」
「礼を言われる覚えはない」
「私のことを逃がそうとしてくれたのに、ヘマをしてしまってごめんなさい」
「全く、いい迷惑だ」
「これからはっ…ちゃんとするようにします」
「あぁ…ハナから期待なんてしてねぇよ」
私の手を振り払った彼は、相変わらず冷たい視線をこちらに送る。
「俺はこの後、会合に向かう。何かあれば新次郎を呼んで世話させろ。」
「呼ぶって…どうやって、」
「……おい、新次郎」
まさに鶴の一声、とでもいうように。仁睦さんが独り言のように呟いた新次郎の名前。その直後静かに開かれた襖の向こうには…私の天敵である新次郎が膝をついてこちらに頭を下げているのが確認出来た。
「呼べばすぐに来れる場所に置いておく。何かあれば新次郎の名を呼べばいい─…新次郎、後は任せた」
「お任せ下さい、若」
お任せされたら困ります、若サマっ!!



