会長サマとの面談が無事に終了し、仁睦さんとともに部屋を出てお屋敷の長い廊下を一緒に歩いた。
私の少し先を歩く仁睦さんは、向かう時と同様に一言も口を開かない。
──…怒ってるのかな?
私のことを”妹だ”と周囲に嘘をついてくれていた仁睦さん。それを私が簡単に否定してしまったことで…後日彼が咎められるようなことがあったりするのだろうか?
家に火をつけた人物が何者なのか分かるまでは、危ないのでここで暮らして欲しい…っという話だったが、仁睦さんのついた嘘を利用して他の人達には”妹”ということにしておこう、っと会長に言われた。
妹では無いと知っているのは会長と仁睦さん、それから新次郎の三人だけ。その他の人達には”若頭の妹”という扱いを受けることになるらしい。
会長にお会いする前に寝ていた部屋に到着し、仁睦さんが襖を開いて中へ入ってから、私にも入れと目配せをしてくる。
その行動一つ一つが尊くて…瞬きという生理現象を一時的に止めたい。
「……早く入れ」
ジィーっと仁睦さんを眺めては一人キュンキュンしている私を急かすように仁睦さんが声をかけてくれるから、もっと困らせてやりたくなる。



