極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜



『俺の言う通りに行動すれば、生きてここから帰してやる』


仁睦さんはそう言っていたけれど…ここに着くまでの間、終始無言だったので…まだ何も命じられていないのですが…この場合一体どうすれば、、



「由岐《ゆき》 英里《ひらり》さん…っで、間違いない?」


なぜフルネームを知られているのだろうか?と疑問に思ったが、以前仁睦さんにマイナンバーカードを提示した際、スマートな動きでフォンを取り出した推しにソレを写真に収められていたことを思い出した。



「ゆ、ゆゆゆゆ由岐です。英里です。間違いないですねっ、はい。」


おそらく桁違いであろう…見るからに高級そうな着物を上品に着こなして座っている会長サマを前にして、どんな口調で話せばいいのか分からずとんでもなく言葉を詰まらせてしまった。



「……可愛いね。君なりの言葉で答えてくれたらそれでいいから。そんなに怯えないで」



怯えるな、と言われても…身体が勝手に震えてしまうのはもう仕方がないことだ。止める方法なんて分からない。……怖い。



「おっと…先に名乗るのが礼儀だよね。申し訳ない。私は、関東一の勢力を持つ組織…秋桜《しゅうおう》組の傘下である辰弥会で会長をしております─…辰巳《たつみ》 幸弥《こうや》と申します。」



丁寧に頭を下げられたので、その場で棒立ち状態で突っ立っていた私は慌ててドラマや映画、漫画での知識を引っ張り出して畳の上で正座をし、手を前についておデコを畳に押し付けた。