「あのぉ…大変申し上げにくいのですが、、仁睦さん…いやっ、若頭サマの理不尽な婚姻についてひとつ物申しても、、」
「あぁ、それなら…先日お相手の美園グループの方から縁談の話は無かったことにして欲しいと申し入れがあったよ。」
「……え、そーなんですか?!!」
「訳を聞けば”妹さんには敵わないと思ったので”と繰り返すだけで…他に理由を言わなかったんだが…私がなにかするまでもなく、君は自分で彼女の気持ちを動かしたんじゃないか?」
……あの人が結婚を諦めてくれてよかった。だって本当はきっとめちゃくちゃいい人だろうから…うっかり仁睦さんが惚れてしまったら取り戻すのにとても苦労しそうだから。
「そーいうことだから、気兼ねなく仁睦のことを追いかけてもらってかまわないよ。君が居ると屋敷全体の空気が明るくなるからね…これまで通り、元気に明るく過ごしてくれ。よろしく頼むよ」
っと、頭を下げられたので─…以前と同じように手を前についておデコを畳に押し付けた。
「お任せくださいっ、会長サマ!私、由岐英里が仁睦サマを世界一の幸せ者にすることをお約束致しますですっ!」
慣れない丁寧言葉を使ったことにより、意味不明な日本語を大声で叫んだ私に会長サマは以前と同じように声を出して爆笑する。
恐る恐る顔を上げると仁睦さんが呆れながらも優しい笑みを向けてくれているのが見えて…この笑顔をこの先も傍で見られる未来を許されたことに心から安堵した。



