「それだけじゃない、今まで関わりがあった政界関係の人間が自分も暴露されるんじゃないか…と恐れ、金を積んで口封じを始めた。当分、資金繰りには苦労しそうにない」
それがいい事なのか、悪い意味で言われている言葉なのか私には理解できなかったけど…隣で聞いている仁睦さんは驚いているように見えた。
「……知らないとでも思ったか?始末しろと命じた人間を隠れて逃がしてることや…理不尽に殺された連中の家族に匿名で金の援助をしてること。」
…やっぱり、仁睦さんは悪人には向いていない優しい人だったんだ。
「お前は優しすぎる、考えが甘い……っと、散々言ってきただけに…今回の一件には驚いた。なんの報告もなく暴走するなんて夢にも思わなかった。」
「本当に、申し訳ありません」
「いや?一応褒めたつもりだったんだが…伝わらなかったなら言い方を変えよう。お前はとんでもないことをやらかしたと思っているみたいだが、そうでもないぞ。今回のことでウチの若頭を怒らせるとマズい、と他の連中はお前に対して恐れを抱いている。」
「……つまりこの先も、自分に若頭を続けろと?」
「そーいうことだ、だからお前がこの家を出ることは許さない。」
思っていた展開と異なりすぎて、ただ呆然と二人の会話を聞いていた私に会長サマが視線を寄越してきて……何だか楽しそうに笑った。
「そんな不安そうな顔をしなくとも、君はこれまで通りここに居てもらってかまわないよ」
という神のような一声が掛かり、素直に嬉しくてこちらもつられて笑顔になってしまう。
「っえ?!いいんですか…?!!私の家に火をつけた人達、見つかったんですよね?それなのに…私まだここでお世話になっても、」
「あぁ、これまで通り…仁睦のことを支えてやってくれるか?仁睦が逞しく見え始めたのは君をここに迎え入れた頃くらいからだ。…人は守るのもが出来ると強くあろうとする生き物だからね、仁睦がここで生きていく上で君は必要な人材だ」
「必要な人材なんてっ…そんな、、」
っと、照れて顔を赤く染めている私を隣で呆れ顔で見つめる仁睦さん。でも会長サマ自らに頼まれてしまったからには仕方がない。これからも私が仁睦さんのことを誠心誠意、全身全霊を尽くし支えさせてもらおうではないか。



