翌日、体調が万全になったので久しぶりに大学へ向かう為、屋敷を出ようと玄関に向かうと長らく見ていなかった(2、3日)新次郎の姿があった。
「よぉ、クソガキ…調子はどうだ?」
最後に見た時の彼は顔に傷が出来ていて赤く腫れた箇所が多くあり見れたもんじゃないと思っていたが、あれから数日の間に回復したのかその傷はほとんど残されていなかった。
「おはよ、新次郎!私のお世話係を放棄してどこ行ってたの?ちょーっとだけ寂しかったよ」
正直に"寂しかった"と伝えれば…彼は私から視線を外して浅くため息をはいた。
「お前の体調不良に気が付けなかったことを咎められて、しばらく世話係を降ろされてた。まぁ俺としては?ラッキーだなー…っと思ってた訳だが、送り迎えに適任なのは俺しか居ねぇんだと。」
「……そっか、良かった」
「…は?」
「おかえり、新次郎!!これからも誠心誠意私に仕えるがよい、舎弟よ!」
「だぁからっ、テメェの弟分になった覚えはねぇんだよ、タコ!!」
何はともあれ、また新次郎と喧嘩出来るのは嬉しい。何やかんや私のワガママを聞いてくれる彼は…やっぱりいい人だ。
──…そう、いい人だ。
いい人だって、思って信頼していたのに!!
夜、仁睦さんが迎えに来てくれるのが22時頃というなんとも遅い時間だということが判明し…お気に入りのワンピースを着て待って居ようと思ったはずが─…洗濯出来ていなくて慌てて洗ったのはいいものの、乾燥機がない!!!
このままでは推しとのドライブデートに着ていく服が無くなる…っと、私は「Hey 新次郎」を呼び出し彼に近くのコインランドリーで乾燥機を掛けてもらうようにお願いをした。
往復の時間を含めて長くても40分くらいで終わるだろうと思っていたのに、21時を回っても戻らない彼に焦って電話を掛けてみれば─…
「Hey新次郎っ!私が頼んだワンピースは?」
『あぁ…あれな。なんか…手違いで、縮んだ』
「手違いっ?!手違いってなに?!!あれがないとドライブデートにいけない〜…、」
『あ?知らねぇよっ!もっといい服、若頭サマに買ってもらえやクソガキっ!!もう寝ろ!』
最後、怒鳴られて一方的に切られてしまった通話。どうやら私はあの舎弟のことを高く買いかぶりすぎて居たらしい。
怒りで震える手で握りこぶしを作った時、部屋の襖が静かに開いて、大好きな推しが視界に入った途端─…新次郎へと怒りなんてものはすぐに引っ込んでしまった。



