「ありがとう、紗弓。このご恩は一生忘れません!」
「はいはい、何でもいいけど…早く連絡しないと光くん寝ちゃうんじゃない?」
「…だね!ちょっと電話してきます!」
一応会話を聞かれないように一度紗弓の家を出て、マンションの階段で西園寺殿に電話を掛けさせてもらった。
「……ん?もしもし?紗弓ちゃん?どしたの、珍しいね電話なんて…ってか初じゃない?」
っと、通常運転の西園寺殿の声が聞こえてきたので早口で要件だけ伝えさせてもらおう。
「あ、こんばんは…夜分遅くにすみません紗弓のスマホを拝借しておりますヒラリーです」
「……これはこれは、ヒラリー嬢でしたか。」
「例のカードを今すぐご返却したいのですが、このあとすぐに会えたりしませんか?」
「このあと…?俺は全然大丈夫だけど、英里ちゃん出てこれるの?!」
「はい、もう既にいま絶賛鬼ごっこ中なので。捕まる前に西園寺殿にこれをお渡ししたいのですが」
私の現状を聞いた西園寺殿はなんだか楽しそうに笑っていたが、受け渡し場所などを細かく指定してくるあたり…やはり只者ではないな、と思わざるを得なかった。
「……くれぐれも、気をつけて」
「西園寺殿も、気をつけてね」
お互いに”気をつけて”と言い合ってから電話を切って…紗弓の部屋に戻った。



