「それじゃあ……帰るね。話はそれだけだから」
と言って、部屋を出ようとした。
恭くんに背中を向け、リビングと廊下を仕切るドアを開けて。出ていこうとしたところで、うしろから、開きかけたドアを押さえつけられてしまった。
そして、ドアを押さえる手とは反対の手が、わたしを包む。
「ずっとおれの応援してくれるって言ったのは嘘だったの?」
いっぱいいっぱいの声でそうささやかれた途端に、なにがなんだかわからなくなってしまった。
「するよ、応援。これからも応援する」
だから、恭くんが言葉にどんな秘密を隠しているのかを考える余裕はなくて、涼くんと付き合うことがどうして恭くんを応援しないことにつながるのかを考える幅ももたせられなかった。
「おれを一番に応援してくれる?」
「うん」
「おれを優先してくれる?」
「うん」
「だれよりも。……涼花よりも」
「それは……」
うんとは頷けなかった。
「ほらね、嘘じゃん。おれよりも涼花を選ぶんだ」



