もともとは、僕好きに出る恭くんから目をそらしたくて始めた“ふり”。
けれど、今はもうネガティブな理由はなくて、ただ涼くんと向きあいたいと思っている。
「それを、どうしておれに話そうと思ったわけ?」
「……だって、恭くんと涼くんが家族で、わたしたちは幼なじみだから。黙ったままなのはおかしいでしょ?」
こればかりは嘘をつくしかない。
本当は、わたしのなかの尾を引く感情と決別するために話そうと思っただけ。
涼くんと向きあうことを恭くんに宣言するのが、わたしの覚悟になる。
──なんてわがままな本音を、恭くんに言える道理はない。
「そうだね……」とつぶやいたきり、恭くんは口を閉ざした。
この期に及んで、わたしは恭くんの答えを待ってしまった。
恭くんがどういう反応をするのか、期待してしまった。
けれど、ドラマで演じた容疑者の少年役のように、表情から窺い知ることはできなかった。
やっぱり恭くんはなんとも思ってないのかもしれない。



