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ひさしぶりに恭くんの家にやってきた。
ここしばらくは、恭くんがうちにやってくることはあっても、わたしが恭くんの家を訪れることはなかったから。
わざわざ部屋で話すほど長い話でもないのだけど、かといって、マンションの廊下で話しこむのも違う気がして、恭くんの家で話すことにした。
なにも変わらない、ブラウンを基調としたオーガニックな雰囲気のリビング。
観葉植物で部屋を彩るのが、再婚したお義母さんの趣味らしい。
だからこそ、涼くんはまだ家を受け入れられなくて、わたしの足も恭くんの家から遠ざかったわけだけど。
そんなリビングには、わたしと恭くん以外だれもいない。
「母さんには悪いけど、これはしまってもらおうかな」
ソファーに座ることもせず、立ったままのわたしたち。
恭くんが、ダイニングテーブルの上に置いてある植物の葉をさわりながらつぶやいた。
「どうして?」
「涼花を連れ戻すには、これらは邪魔だから」
「そうだね」
わたしや恭くんにとってこれらの観葉植物はインテリアにすぎないけれど、涼くんは違う。



