己の恥と向きあって完全に油断していたわたし。
なにが起こったのか理解したのは、すべてが完了したあと。
「ちょっ、涼くん……!」
お腹にまわる涼くんの腕を引き離そうとするも、びくともしなくて。
「逃がすわけねぇだろ。すでに一日損してるんだから」
うしろから抱きしめられながら、耳もとで誘惑された。
突然のことで、体が硬直する。
抱きしめるというよりかは、包みこむって感じで。
誘惑と思っているのは、たぶんわたしだけなんだろうけど。
そのへんの細かいニュアンスはどうでもいい。
「損って……。一日だよ、たかが」
「されど一日」
「そうとも言うけど」
一日くらいスタートが遅れたって損にも得にもならない、と思うわたしがのんきなの?
「わ、わかった。わかったから、離れよ」
「やだ」
「なんで」
「俺はスキンシップ多めがいい派なもんで」
抑揚をつけずに言うから、本気なのかわからない。



