「あっ……」
一階から三階まで直通の長いエスカレーターを上がっているとき、あのポスターが、ふいにわたしの目に飛びこんできた。
僕好きの放送開始を伝えるポスター。
まえに見たものとは違うバージョンだけど、恭くんが相良恭平の顔して映っている。
吹き抜けの空間を埋めるように吊るされているから、視線が勝手にポスターをとらえてしまった。
しかも、目をそらせない。
あまりにも自己主張が強すぎて。
「なあ、あれ──」
「わっ、なに?」
ポスターをじっと見ていたら、うしろに立つ涼くんから話しかけられて、わかりやすく驚いてしまった。
突然話しかけられたから、というよりは、エスカレーターの一段下に立つ涼くんとの距離が思いのほか近かったから、びっくり。
「なにビクついてんの?」
「ビクついてないよ。それより、なに」
「恭花のあれ。昨日スタートになってるけど、もう始まってんの?」
涼くんの視線はポスターを向いている。
つまり、僕好きの放送が始まっているのかを訊いているらしい。



