*絢音*
マンションに帰ってきて、お隣さんちのインターホンを鳴らす。
「はいはーい」と恭くんが出てきた。
「この時間に来るのひさしぶり……、涼花!?」
恭くんは、わたしのうしろに立つ涼くんを見るなり目を丸くした。
「涼くんを連れてきました。今、おじさんたちは?」
「母さんはいるけど……。連れてきたってどうやって?」
「うーんと……、根気かな」
「……ん? 絢音、なんか元気ない?」
「えっ」
恭くんが心配そうにわたしを見てくる。
ちらっと振り返ると、涼くんは決まりが悪そうな顔をしていた。
「元気だよ。それより、上がっていい?」
「あ、うん、そうだね。どうぞ」
「おじゃまします」
「涼花も」
「…………」
涼くんはそこを動こうとしなかった。
男たちに襲われそうになって涼くんから助けられたあと「一緒に家に帰ろう」と言ったら、涼くんはなにも答えずにわたしのあとをついてきてくれた。
マンションまでは来られたけれど、やっぱり再婚相手がいる家には帰りたくないらしい。



