それは消え入るような声だったから聞き間違いと思ってもおかしくなかったけど、その可能性もあるかもしれないと頭の片隅に思い描いていた俺にとって、聞き流せない声だった。
裏路地をひとつ折れた先で、ふたりの男とひとりの女を発見した。
男のひとりが女を壁に押しつけて手で口をふさぎ、もう片方の手をブラウスの中に入れようとしている。
残りのひとりは、そのようすをカメラに収めようとスマホを掲げている。
その男たちが俺に因縁をつけてきたゴリラとゴボウだとわかったのは、すべて事が済んだあと。
女が絢音だとわかった瞬間に、俺は理性をぶっ飛ばして男たちに殴りかかっていた。
「涼くん! もうやめて! この人たち、死んじゃう」
絢音に抱きつかれてはっとしたとき、俺の足元には顔の原型を留めていない男たちが転がっていた。
「わたしは大丈夫だから。まだなにもされてないから」
なにが大丈夫だよ。
俺の胴に回す手がめちゃくちゃ震えてるじゃねぇか。



