「ちっ」
と、舌打ちをしたかと思うと、わたしの腕をとって立ちあがった。
そのまま玄関まで引っ張るようにして連れていき、ドアを開けようとする。
「涼くん」
「もう二度と来るな」
そうしてドアを開けた先には、女の子が立っていた。
インナーを紫に染めた長い髪をハーフツインテールにし、胸元にハート型の穴が空いた黒いブラウスを着ている、同じ年くらいの女の子。
「よっ、涼花」
彼女は涼くんに手を挙げてあいさつしたあと、わたしに気づいてしかめ面を見せた。
「だれそいつ」
「なんでもねぇよ」
出ていけと、口では言わなかったけど、涼くんに背中を押されてそう言いたいのだと察した。
わたしが出るのと入れ替わるようにその女の子が部屋に入り、パタンと、ドアが閉じられた。
涼くんは、わたしに教えたかったのかもしれない。
ノコノコと家にやってきたらこうなるよ、と。
説得できなかった。
簡単にできるとは思ってなかったけど、せめてわたしと恭くんの想いが伝わってくれたらいい。



