わたしはひと呼吸を置いて、言葉をつなぐ。
「……でも、涼くんのことは応援できそうにない」
恭くんのことはなにがなんでも応援するけど、涼くんはむりだ。
「たとえば、涼くんが遠くの大学を受験するってなっても、今からアイドルを目指すってなっても、好きな子ができたって言われても……応援できない」
今日は学校で補習をしたらしい涼くん。
ひょんなことから勉強の楽しさに目覚め(それはいいんだけど)、ぐんぐん成績が上がって(それもいいんだけど)、入りたい大学を見つける(それもいい)。
でも、もしそこが遠い土地だったなら……。
わたしは、まっしろな心で涼くんの背中を押すことはできないと思う。
恭くんに触発されて涼くんも芸能界を目指すとなっても、わたしは止めたくなると思う。
恭くんは応援できて、涼くんは応援できない……両者の違いってなんだろう。
その疑問だけは時間をかけて考えなくてもわかった。
好きな人のやることだから応援したくなるのなら、その逆、好きな人のやることだから応援できないときもある。



