「わたしはふたりとも好きだったよ。同じくらい大切で、優劣はつけてない」
「そういう意味じゃなくてさ。優劣だとは思ってない。なんつうか、リアクション?」
たとえば、と言って近寄ってきた。
視線が近くでぶつかる。
その距離、五十センチ。
涼くんは向かいあうわたしの手をすくい上げるようにとると、指を絡ませてきた。
「こういうことして、恭花だと顔が赤くなるのに、俺だと笑うんだよ絢音は」
その瞳が寂しそうにゆらいだ。
今はそばに涼くんしかいなくて、涼くんだけを目に映しているからゆらぐのがわかった。
けれど、きっとこれが初めてじゃない。
これまでにも涼くんはわたしたちにそういう目を向けていたんだと思う。
わたしはそれにずっと気づかなかった。
動悸がたちまちに高まるのを感じて、絡んだ手を自分から離す。
「うん、今ならわかる。……わかるようになった」



