生まれたときから恭花とは双子をやって、絢音と三人で幼なじみをやってきたけど、俺はもう、ふたりの幼なじみでもなんでもないことに気づいてしまった。
『ありましたよ、それはもうたくさん。でも、あらためてこの作品を、今日この劇場で観ることができて……初心を思い出しました。やっぱりこの仕事を選んでよかったなって』
悔しい思いをしたばかりなのに舞台の上でそう語る恭花と、そんな恭花を大切な宝物のように見つめる絢音にはふたりの共通の時間があって、俺にはそれがない。
俺だけが取り残されているような、もっというなれば、ほかの時間軸を生きているような感覚に陥って。これまでもたくさん後悔してきたのに、あの瞬間だけは痛みが伴った。
共通の時間がない俺にはふたりの想いをくみ取ることができない。なにもわからない。
それが、無性に腹立たしかった。
だから、楽に生きられるという鎮痛剤のようなえさで俺を釣って、無駄な時間を過ごさせたあの世界に戻ることはない。
ここが美しくあろうとする心がないと生きられない世界だとしても、きれい事をしてでもすがりつく。
──もう一度、やり直すために。



