役ではなく相良恭平として出演することに抵抗があったから。拒絶反応のようなものがあって、リアリティーショーでリアルを出したくなかった。
「……ちょっと違うか。ラジオとかでふつうにリアルをネタにしてるもんなぁ。なんていうんだろう、そういう状況になったことがないからわからないけど、本命がいるのにキープを作っとく感覚かな」
相良恭平としてリアルな恋愛をしたくなかった。
スタッフが作ったシナリオどおりに演じるのはありえないとして。
だったら、自分でキャラクターを創造して演じればよかったのかもしれないけど、おれは演出家でも脚本家でもないから、自分で作っている時点でそれは自分なのだ。
単純な話で、本命がいるのに自分も他人も欺くような仕事をしたくなかった。
「でも、仕事と意思を天秤にかけたらやるしか答えはなくて……。だから、知名度のためって思ってないと、絶対に参加できなかった」
撮影中、一度も心を手放さなかった。
一度たりとも、だれにも心を寄せなかった。
心の中心にはいつだってひとりの女の子がいたから。



