ふたりが双子である理由


こうして隣に座るのを自然と避けるような関係性におれがしてしまって、おれはそれを仕方ないこととして受け入れてきたんだ。


「バスに乗るのってふつうのことなのかな」

「ふつうじゃないの?」

「だってわたし、普段からあまりバスに乗らないし」

「そういえば、おれもそうだ」

「ちょっと特別な感じする」


絢音の声からそわそわしているのが伝わった。


特別なのはバスに乗ることで、ふたりで出かけることを言っているわけではない。


だけど、今この瞬間を特別に感じてくれるなら、ふつうではないバスを選んでよかったと思う。


バスが思ったよりも静かな場所だったと知るのは、こういう機会でないと一生訪れなかったかもしれないし。



それからしばらく、おれはこの安寧を守りつづけた。


時折、人の乗り降りはあるけど、乗客の人数はプラスマイナスゼロを保ちながらバスは走り、おれはこの箱の中の世界に身をゆだねた。