ふたりが双子である理由


菓子折を持って柏井家のチャイムを鳴らすと、絢音が出た。


「恭くん。どうしたの?」

「おばさんは?」

「仕事に行ってる。帰るのは七時くらいって言ってたかな」

「じゃあこれ、絢音から渡しておいて」


菓子折入りの紙袋を渡すと、絢音は中を覗いた。


「わ、お母さんの好きなやつだ。なにかお祝い事あったっけ?」

「お祝いじゃなくてお礼。涼花がお世話になったからって、義母さんが」

「あー……」


べつにいいのに、とつぶやく絢音は、自分では気づきそうもない程度に悲痛な面持ちになった。口もとはゆるんでいるのに、眉に力が入ってしまっている。


その表情が意味するところを、おれは知っている。


秋祭りの数日後、涼花は絢音の家を出ていった。そして、ふたりは別れたそうだ。


“別れた”を言葉どおりに受けとっていいのかおれはわかりかねているところだけど、絢音の表情に影を落とす原因はおそらくそこにある。


涼花が心配なのか、はたまたそれ以外なのか……。