いつの間にこんなの買ってたんだ?
おれに相談はなかったし父さんも知らないはずだから、義母さんがひとりで買ってきたのだろう。
「いい加減、涼花を叱れば?」
「……叱るって、なんで」
「心配なんでしょ」
涼花は父さんと母さんの離婚に反対して家を出ていった。ばあちゃんが亡くなるのとほぼ同じ時期に、父さんは義母さんと再婚した。
涼花が父さんも義母さんも許せないことは、義母さんも知っている。だから、これ以上嫌われないよう涼花に遠慮している。
本当はずっと心配してるんだ。
家に帰ってきてほしいと思ってる。
「嫌われてると思うのは仕方ないけど、だからって遠慮する必要なんかない。親としてじゃなく大人として、帰ってこいって言えばいいのに」
おれの助言に対して義母さんは小さく笑うだけ。
えらそうなことを言えるほど大人でもない。
そうささやいたのは、聞かなかったことにした。



