手のひらが熱くて痛い。
この痛みがわたしにわずかな後悔を生み出すけれど、それでも、好き勝手に言われた侮辱をこのまま放置することはできなかった。
「恭くんのこと知らないくせに、悪口言わないで」
涼くんは叩かれた頬に触れて、口角をつり上げた。
「知ってるよ双子だから。あいつは俺の片割れ。どんなに見た目を着飾ったって、所詮は俺と同じなんだよ」
そう言ってベッドに手をつくと、空いたもう片方の親指でわたしの唇を拭った。
「あいつはおまえ以外の女にこういうことしてるよ。想像してみろ」
怒りが自分のなかにまだ残っていたせいか、涼くんの言葉が素直に耳に入ってこなくて。
そのせいで反応が遅れてしまい、気づいたときには、涼くんの唇が自分のそれに触れていた。
触れていたと言うと優しい感じがする。
押しつけられていた。
離れようとしたわたしの頬を、涼くんがとっさに両手で押さえ離れないようにする。
それから完全に捕まえたと自信を持ったのか、わずかに唇を離して、また口づけをする。
離して口づけをする。



