またS地区に行くのではないかと不安になるわたしに、涼くんははっきりと「S地区には行かない」と約束してくれたから、出ていく先のことは心配してなかったのに……。
「ああでも、その一回きりよ? 突然来て、真珠に謝りたいって。それと、決別とも言ってた」
自分でも気づかないうちに、眉間にしわを寄せていたらしい。雅さんはフォローするように説明をつけたした。
それを聞いて、涼くんの思惑は理解したけど、安心するのはちょっと違う。
おそらく真珠さんへの謝罪は、暴れる真珠さんを止めるために仕方なく使った「捨てた」という言葉に対してのもので、みんなときちんと別れるために話をしに行ったのだろう。
デスゲーム映画を観た帰り道にその話をしたから、たぶんそう。
でも、涼くんの問題は一緒に解決しようって約束したのに。ひとりで行っちゃったんだ……。
「涼くん、なんて言ってました?」
「真珠になんて謝ったのかは知らないけど──」
「これまでごめん、でまとめられた」
「あそう。オレらにも、まっとうな人間になってくるわ、ってだけだった」
「それだけですか?」
「うん。でも、律儀だよな。スマホで済んだことを、わざわざ言いにくるなんて」



