なのに、涼くんがうちに残したものは大きかった。 「なんだか寂しいね」 静かな食卓を囲み、しばらくのあいだ、その言葉がお母さんの口癖になった。 一度お兄ちゃんが帰ってきて、そのときだけはわが家に活気が戻ったけれど、お兄ちゃんが大学に戻ったあとは結局、二倍に増幅された寂しさだけが残った。 そうして気づけば、季節が移り変わろうとしている。 テレビから聞こえてきた「冬ソング特集」に、秋の終わりを感じた。