「いいよもう。どうせこうなると思ってた」
「どうせってなに?」
「おまえ夢中になると、ほかが目に入らなくなるだろ」
「……いやうん、それはほんとごめん」
「素直に受け入れんな。……じゃなくて、」
涼くんは手を離して、頭をかきむしった。まるで、言いたいことが伝わらなくてもどかしい、みたいに。
「今日じゃなくていい。また次に来たときでいいだろ」
「でも……」
「涼花がそう言ってるんだし、またの機会でいいんじゃない?」
恭くんにもたしなめられて、仕方なくといった感じでうなずいた。
そうしてわたしたちは、また駅に向かって歩きだした。
ダメだなぁ……。一個のことに、こう、がっと集中できるのは特技でもあるけど、直さないといけない欠点でもある。
もっとまわりとのバランスを考えて…………ん?
ふいに、涼くんの発言が脳裏をかすめる。
“また次に来たときでいいだろ”──そう言った、よね?



