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舞台挨拶が終わる頃、秋祭り自体も撤収を始めていた。
二日間に及ぶ秋祭りの今日は二日目。
秋の暮れに、片づけをする人々の寂寥感が重なって、こっちまで記憶の彼方に残した感傷に浸りそうになる。
「また来年も来たいね」
無意識のうちにそう言葉をこぼしたら、恭くんが「そうだね」と同意してくれた。その同意をわたしは、もしかしたら恭くんも、あまり本気にしてない。
わたしはともかく、恭くんの来年がどうなっているかなんてわからないから、ささいな願望にすぎないのだけど、そう思ってくれているだけでいい。
ほかにはなにも望まないから、本気じゃなくていい。
「涼くんはどうだった? 満足した?」
「んー……」
「え、なにその返事」
「だってさ」
煮えきらない返事に、「なに?」ともう一度訊いたら、涼くんはひと言。
「──だんご」



