「終わったなら帰れ」
ちょうど手当てが終わったタイミングで、涼くんがわたしを追い返そうと肩を押してきた。
わたしは、まだ帰らないよという意思を伝えるため、ベッドに座った。
「わたし、涼くんに話があるの」
「話? そういや、なんであんなとこにいた?」
「涼くんを探してたんだよ。目撃情報を見てね」
「目撃?」
わたしは、SNSで「相良恭平 遭遇」と調べて出てきた投稿を涼くんに見せた。
「相良恭平。恭くんの芸名。涼くんも知ってるよね?」
ぴくりと涼くんの眉が動く。
「恭くんはS地区に行ってないから、この目撃情報は双子の涼くんだと思ったの。それで涼くんに会えないかなって」
「で? なんで俺に会う必要あんの?」
「この目撃情報のせいで、恭くんの芸能生活に暗雲が立ちこめてる。涼くんがこのままケンカばっかしてると、恭くんは芸能界をやめないといけなくなるかもしれない」



