『ぼくの人生を変えるほどの力がこの映画にあることは、今観たみなさんならわかると思います。まあ、ここにくるまでつらいこともありましたけど……』
『あったの?』
『ありましたよ、それはもうたくさん。でも、あらためてこの作品を、今日この劇場で観ることができて……初心を思い出しました。やっぱりこの仕事を選んでよかったなって』
『そっか……ありがとう。うれしいよ。若者の背中を押せたなら僕もよかった』
ただふたりのトークを聞いているだけなのに、なぜか目頭がぐわんと熱くなった。
初めて子どものピアノ発表会を観たときの親ってこんな気持ちなのかな。日々の雑念がどっかいって、晴れ舞台でキラキラ輝くわが子に祈りたくなる感覚。
……違うかもだけど、感極まるってこういう状態のことを言うんだ、きっと。



